2017/06/22

2017年上半期VOCALOID10選

今年もやります上半期10選。

なんと今年は上半期だけで10選が作れる……!  気がついたら既にチェック曲数が昨年の3/4くらいあるのよね、びっくり。
選考対象、選考基準は昨年の10選から変わらず、今年公開されたVOCALOID、UTAU、CeVIO歌唱楽曲 のうち「印象に残った曲、私自身が好きな曲」。

では早速、今回も公開日時順にご紹介。


1. やんかな / "言い訳DAYS" (1/2投稿)

ゼロ年代アニソンっぽい4つ打ち。あまり詳しくないのでアレだけど、I've Soundの血統を感じる。ボカロ的にはポップめなヴォーカリオンになるのかな。
要所要所のキメのリズムとか、サビ4、8小節目の「シュー、パンッ」ってSEとか、とても好き。世代的にこの曲調直撃なので抗えないのよね……ということで10選に選出。
ボーカルがOИEなのでめちゃくちゃ自然な歌唱なのもポイント。やっぱりOИEはすごいわ。

2. HastyHat / "Paradise Awaits" (1/10投稿)

ぶっといサウンドが気持ちいいバウンス系EDM。
HastyHatさんは灯辻さん(@s1eeping_sheep)のおすすめで知った、上質なクラブサウンドを量産されている方。本作も線の太さと粗の無さに目を見張るものある。
というわけで、こんなにすごいクラブ系Pがいらしたことにインパクトを受けたので10選入り。特に本作のバウンスらしいダサフレーズは、テンションブチ上がるので最高なのよねw(語彙が弱い

3. くらげP / "トラッシュ・アンド・トラッシュ!" (1/31投稿)

本半期の私的最高金賞。3回連続くらげPはやり過ぎな気もしたけれど、それぞれに最高金賞たる理由があったのでこれで正解だと思っている。
キレの良いバンドサウンドの爽快さはいつも通りのくらげP。本作を最高金賞に選んだ理由はむしろ歌詞にある。無力な自他を正義によって裁いていく正しさと空しさに非常に強い衝撃を受けて、感情移入したのよねえ。

4. 40㍍P / "大正ロマンチック" (2/18投稿)

バンドサウンド主体で、さらにストリングスやアコーディオンを加えたポップ。
「風呂敷の中にミルクチョコレート」、「女性の私もいつかは選挙に参加できるかな?」等々、大正14年当時の世相風俗を前面に押し出した歌詞が印象的。
一方で、恋人に会いに行く女の子の胸のときめきは今と変わらず、とてもピュアでかわいらしくもある。
いつの時代も恋とはかくあるものだよなぁと感動したので、これは10選選出だよなーと!

5. ポリスピカデリー / "ナーヴ・インパルス" (2/22投稿)

この方も昨年10選から連続で選出だね。大人っぽいハウスのビートに乗るボーカルは、もちろん闇音レンリ。
今までバンドサウンドがメインだったポリスピカデリーさんが今回はど直球のハウスで、しかもそれが今までに負けず劣らず圧巻の完成度だったので10選に。
全体に渡って本当に素晴らしい出来なのだけれど、特に最初の1小節の「ミドミミファ」は一気に引き込まれるようなパワーがあって好きだなー。

6. サイゼP / "スーパーマーケット☆フィーバー" (2/24投稿)

ミクウナデュオのハイテンションダンスロック。
昨年の「ちがう!!!」のヒット以来、着実に存在感を増しているサイゼP。本作はテンションに起伏がある分ダイナミックな分、これまでより一段上の説得力があった。言い換えるとつまり、サウンドや構成面の腰が下りていて安定感があるって感じかな。
バカバカしいけれど思わず笑顔になってしまうような明るい歌詞も好き。ただ自炊のためにスーパーで買い物するだけの歌なのに、とても幸せになれる。

7. R Sound Design / "帝国少女" (3/9投稿)

ゆったりしたお酒の進む系バンドサウンド。
素朴なエレピとギターの音色、それからキャッチーなメロディがたまらなく心地よい。あっさりしたサウンドであるが故に何回リピートしても飽きないという強みもある。
そんなわけで今半期は何度もこの曲をリピートしたし、他に代わるもののない作品なので10選入り。

8. くらげP / "ビースト・ダンス" (3/14投稿)

くらげP2曲目。ほんと好きだなあ、私も……。
こちらもキレの良いロックだけれど、「トラッシュ・アンド・トラッシュ!」よりはややキー低めでダークな印象。
こちらは感情移入ではなく、そういう生き方もあるのかという気づきがあった。と同時に、その生き方の救われなさに哀しくなったりした。
歌詞も曲も良いけれど、音街ウナの歌唱力の高さにも注目してほしい。今のVOCALOIDでは間違いなくトップクラスの性能の持ち主なので。

9. Torero / "C.H.O.I.C.E" (4/1投稿)

レン、GUMI、ミク、リン、ルカと5人ものボーカルを迎えた、キュートでキャッチーなドラムンベース。
ライトな絵面とピコピコサウンドがかわいらしく、ゴリゴリのクラブサウンドやラップが苦手な人でも楽しめるんじゃないかなー。4人の女の子が1人の男の子に迫るという修羅場展開もほほえましいし。
ちなみにこの曲ははじめあんまりピンとこなかったのだけれど、クラブを含めて何度か聴いてるうちにドハマリした。DnB Stepを踏みやすいのも楽しいのよねー。

10. EyesOnly / "シグナル" (4/15投稿)

週刊UTAUランキング#441、442の連覇作品にして今半期最高級のバラード。
すっかりUTAU界のスターとなった闇音レンリ。これだけたくさんの人が使っていれば、こういう傑作が出現するのも当然なのかもしれない。
音数を絞ったA、Bメロから一気に盛り上がるサビへのギャップ、人間よりも人間臭いレンリの強み、その他メロディと言いアレンジと言い疑うべき点がない一流作品だわ。


以下あとがき。

2017年6月22日時点での再生数平均値157957、中央値88112。最大値は「トラッシュ・アンド・トラッシュ!」の445338、最小値は「Paradise Awaits」の796。
今回はメジャーなのからマイナーなのまで幅広く選べたかな。CeVIOとUTAUがしっかり入ってるのも我ながらバランス良い。
しかし上半期だけでもいい感じに選定に悩んだので、年間は大激戦になるんだろうなあ……。

この半年のボカロシーンの感想としては、2016年も遠くなりにけりといった感。
四天王は門番として健在とはいえすっかり下位に落ち込んでいるし、あれほど猛威を奮ったナブナさん勢も昨年ほどの勢いはない。
変わって2017年上半期のトレンドはバルーンさん勢と#コンパスコラボ曲、そして何より現代の王者ナユタン星人さん。この辺はみんな昨年の新興勢力だし、いよいよポストGR世代の本領発揮なのかなー。
タカオカミズキさんの「色彩」カバーやkemuさんの「拝啓ドッペルゲンガー」等、単発の大ヒット作も出ていることだし、シーン全体が活気ある状態で安定していてとても良いと思いますね。
さてさて、下半期もどんなビッグイベントがあることやら……!

2017/01/09

私がボカクラと出会った話

●はじめに


VOCALOIDクラブイベント、略してボカクラ。

昨年の11月に初めて足を運んでからの2ヶ月間、取り憑かれたようにボカクラに通いつめたので、ここで一つ今の気持ちを記録しておこうと思う。
もしこの記事を読んでいる人がボカクラ通いの先輩であれば、「へえ、ハマりたての人はそんな風に感じるのか」と思いながら読んでくれればいいし、ボカクラ参加経験の無い人なら「なるほど、ボカクラってそんなところなのね」と思いながら読んでくれれば幸い。
まあ、記録したくなった一番の理由は「未来の自分が読むだろうから」なのだけれど、せっかくだから人に読んでもらえるここに書こうかなと。

●ボカクラに出会う前の私について


ボカクラの話を始める前に、ボカクラに出会う前の私のプロフィールを明らかにしておこう。

ボカロとの出会いは2007年、本格的にハマったのはリンレン発売の頃で、それ以来ずっとニコニコ動画を中心にボカロシーンを追いかけてきた。
特に週刊VOCALOIDランキング(ぼからん)は約470週に渡ってずっとチェックしてきたので、事実上このシリーズが私のボカロファンとしての軸足であると言っていい。
2010年あたりからはTwitterに入り浸るようになったので、ボカクラに出会う前の私を端的に言うと、「ぼからんを見ながらTwitterでボカロの話をする人」と言ったところだろう(というか、これは今でも変わっていない)。

一方で、ボカクラのことは2016年に入るまで存在すら知らなかった。
VOC@LOID NIGHT Vol.2 remix tracksあたりは好きだったけれど、これが本来流されるべきクラブイベントという場などまるで想像の外で。
「クラブイベント」といえば「不良っぽい人が夜通しお酒を飲んだりクスリを打ったりして騒ぐ場所でしょ?」という印象だった。今考えるとヒドい印象だな……。

また、マジカルミライのようなライブイベントすら行かない出不精でもあったので、私にとってのボカロとは本当に自宅でスクリーン越しに楽しむものだったのである。


●ボカクラとの出会いの顛末


それでは、そんなクラブのクの字も知らない私がなぜボカクラと出会ったのか。そのきっかけを説明しようと思う。

まず、ボカクラという文化を知ったきっかけは旧知のボカロファンの方がハマり始めたこと。
このブログ記事に見覚えのある方もいるのではないだろうか、「ただのボカロ好きが、生まれて初めてクラブに行ってみた」のたんぽぽさんこそがその方。
この方を介してボカクラが好きな方々とフォロー関係になり、徐々に私はボカクラ文化圏を認識していったのである。

そして、ひょんなことからこの方が私をボカクラに連れて行ってくれるという話になったのが、2016年の11月上旬。
ちなみに、この時点では「そんなに面白いと言うのなら、どれ、一度この目で見てやろうじゃないか」とそこそこ冷めた態度でいた。
まさか翌週からほぼ毎週ペースで通うことになるとは思いもよらず……。

まあ、そんなわけで初めて連れて行かれたボカクラ。
この時の会場は、普通のバーの奥の方に、DJブースと数人で窮屈になってしまうほどの小さなスペースが付いた場所で。
なるほど、ボカクラってこういう雰囲気なのねと独り合点して、ずっと座ってお酒を飲みながらその日初めてお会いした方とオフ会のノリでお喋りをしていた。
知らないボカロ曲や懐かしいボカロ曲が流れてくる環境でお喋りするのは楽しかったけれど、正直なところ、これだけだったら今ほどハマることはなかったと思う。

実のところ、私がボカクラに本格的に魅せられたのは、この翌日なのである。
偶然にもこの翌日に別のイベントがあるというので、まあ楽しかったしせっかく誘っていただいたし……ということで翌日のイベントにも行ってみることにしたのだ。

次の日は現地集合だったので、一人で会場に向かった。
「ちょっと怖いな」なんて思いながらビルの地下に続く暗くて狭い階段を降りて、会場のドアを開けて。
奥のフロアから漏れてくる音を聞きながら、バーカウンターと兼用のこじんまりとした受付で入場料を払って、音が聞こえてくる奥のフロアへと歩を進めて。
そしてフロアの光景を見回して、あっ、と心の中でつぶやいた。

どーんとだだっ広い空間。 椅子も机もほとんど無い!?

明滅するライトに照らされて、大音量の音楽を浴びながら、みんな揺れたり踊ったりしている。
その光景を見たら、もう「これは明らかに昨日と違うぞ」と。
そして次の瞬間には「これは踊るしかないな」と腹をくくった(前日にお会いした方がみんな踊るタイプの方だったせいで、当時は「クラバーは皆踊るんだ」と勘違いしていたのだ)。
仕方がないので、見様見真似で踊ってみたり、前日お知り合いになった方にステップを教わったりして、とりあえず身体を動かしてみることに。
初めてだから当然上手くできないし、人前で踊るなんて恥ずかしいし、初めはかなり心がくじけそうになった。
でも、少し慣れてきたら、ビートに合わせて動くのが思ったより楽しくて。そういえば吹奏楽やってた時はよくフリを付けて演奏してたな、なんて昔のことを思い出したりもして。
ついでに、数年前にお会いしたことのあるボカロ好きの方と偶然再会してお話したりもできて。
そんなわけで、帰宅する頃には「結構楽しかったな、またいつか行きたいな」とすっかりハッピーな気分になっていた。
とはいえ、この時点では1週間もしない間にまた行くなんて思ってなかった。上述の「いつか」は数ヶ月後、数年後のイメージだったのだ。

ところが3日くらい経ったら無性にボカクラが恋しくなって、そのことで頭が一杯になってしまった。
きっと、あの初体験は自分で思っていた以上に衝撃的で楽しかったのだろう。
音楽を浴びたい。ビートに合わせて踊りたい。一日中そんなことばかり考えてしまって。ああ、もうこれはだめだ、衝動に抗えない……。
そう思った私は、早速その週末に次のボカクラに足を運び、そしてそれから2ヶ月間、暇さえあればボカクラへ行く生活をすることになったのである。

以上、これが私とボカクラの出会いの顛末。
クラブに無縁だった普通の人間が、ボカクラに出会って魅了された始まりの物語だ。

●あとがき


さて、私がボカクラと出会うまでの話を備忘録代わりに書いてみたわけだが、果たしてそもそもこんな個人的な話を最後まで読んでくれた方はいるのだろうか……。
本当は今の私が感じているボカクラの楽しさや、クラブで聴いて印象的だったボカロ曲の話もするつもりだったのだが、思った以上に文量が増えてしまったので、それらは後日に譲ろうと思う。

最後に余談。今年はまだ1度もボカクラに行けていないので、身体がうずきまくって落ち着かない状況である。
1月中旬からはどんどん行く予定もあるので、それまでは仕方なく家の中でステップを踏んで慰めるつもり。
はあ、早く行きたいなあ……待ち遠しいなあ……。